企業の内部情報、SNSでの流出が頻発…「仲間うちだけ」「24時間で消える」と油断、「通知から2分以内に投稿」求めるアプリも
完了しました
社員らが勤務先の内部情報がうつる画像や動画を不用意にSNSに投稿し、拡散する事態が相次いでいる。顧客らの個人情報が漏えいし、企業が謝罪に追い込まれたケースもある。専門家は「社の信用失墜につながる問題であり、社員教育を徹底する必要がある」と訴える。(浜田萌)

「BeReal.」に投稿
4月29日夜、西日本シティ銀行(福岡市)の下関支店(山口県下関市)の執務室内を撮影した動画・画像が、X(旧ツイッター)上に拡散した。動画・画像にうつるホワイトボードには、業務目標のほか、顧客7人の氏名も記されていた。
同行は同日夜に拡散を把握。翌30日、顧客の個人情報が流出したとホームページで発表し、「信用を旨とする金融機関として深く反省する」と謝罪した。
同行によると、行員がSNS「BeReal.(ビーリアル)」に投稿したもので、「悪気はなかった」と釈明。同行では、執務室内への私有スマホの持ち込みや撮影は禁止し、研修等で伝えていたという。同行は「全行あげて再発防止に努める」としている。
日常の延長線上で
勤務先の内部情報がうつった画像などのSNSへの流出は近年頻発している。
昨年10月、北海道岩見沢市の病院で委託先の職員が受付システム画面を撮影し、ビーリアルに投稿。患者20人の氏名や年齢などの個人情報がうつっており、病院側は謝罪した。今年4月には、日本テレビの番組スタッフがインスタグラムの「ストーリーズ」に投稿した勤務シフトの画像がXで拡散した。NTT東日本や仙台市の小学校でも同様の流出事案が起きている。
ビーリアルもインスタのストーリーズも、公開範囲を友人などに限定でき、24時間で投稿内容が消えるといった特徴がある。若者のSNSの利用動向を調査する「シブヤ109ラボ」所長の長田麻衣さん(34)は「『投稿を見られるのは仲間うちだけ』『24時間で消える』と油断し、日常の延長線上で業務の様子も投稿してしまっている」と指摘。「画像や動画が複製され、公開範囲外にも拡散されるリスクは常にあることを認識して使うべきだ」と訴える。
ビーリアルには、1日に1回、通知が届き、原則2分以内に投稿するよう求められるといった特徴もある。岩見沢市の病院のケースでは、投稿した職員は「通知が来たので、とっさにやってしまった」と話したという。長田さんは「SNSに投稿する前は必ず一呼吸置き、他人に知られてはいけない情報が入っていないか確認してほしい」と呼びかける。

株価下落、活動自粛
これまで流出が発覚した企業では、親会社の株価が下落したり、活動を自粛したりといった影響も出ている。西日本シティ銀行は、3、4日に福岡市で開催される「博多どんたく港まつり」への参加を自粛すると発表した。「不適切な事案を重く受け止め、自粛することにした」としている。
企業だけではなく、投稿した個人が特定されて、名前や顔写真などがSNS上でさらされるといった二次被害も起きている。
年間300社以上のSNSリスク対策を支援するエルテス(東京都)の釜石萌マネジャーは、「業務内容の私的SNSへの投稿は、会社だけでなく、個人にも大きなダメージを与える。過去の被害例をあげて知ってもらうのが効果的だ。禁止事項を明文化し、繰り返し啓発していってほしい」と話している。
フェイク画像や虚偽情報の誤発信も
企業や自治体は、生成AI(人工知能)によるフェイク画像をSNSなどで誤って発信してしまうリスクにも注意が必要だ。
宮城県女川町は昨年11月26日、町内でクマの目撃情報があったと町の公式Xなどで注意を呼びかけたが、提供を受けて掲載したクマの写真は生成AIによるフェイク画像だったことが判明。目撃情報も虚偽だった。町は「危険回避を優先するため、目撃情報の内容や画像の入手先などの確認を怠ってしまった結果、逆に不安や混乱を与えてしまった。今後は確認を徹底する」としている。


























