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私は夫と高校生の息子、そして2匹の猫と暮らしています。保護施設から譲り受けた「ハナ」(メス)と、「ハットリ」(オス)です。
猫2匹お迎え 予想外
いずれも3歳。ハナちゃんは茶色のトラ柄、ハットリくんは灰色のトラ柄で似ていますが、血のつながりはありません。私たちの家に来たのが2020年8月8日なので、名前は「八」にちなんでいます。

猫を飼うのは、2匹が初めて。きっかけは、動物が好きな息子の「猫を飼いたい」という言葉でした。
実は7、8年前、息子が小学生だった頃にも猫を飼おうとしたことがあったのですが、息子に猫アレルギーの疑いがあったため、断念しました。しかし、息子の猫への思いは消えることなく、新型コロナウイルスの感染拡大で家で過ごす時間が増えるなか、「やっぱり飼いたい」と言い出したのです。
猫、猫とあまりに言うので、息子を病院に連れて行って検査すると、なんと猫アレルギーの反応は出ませんでした。医師にも「飼っても大丈夫」と言われ、念願かなって飼うことになりました。
そんなとき、猫の保護活動をしている知人に紹介されたのが、ハナちゃんです。
ハナちゃんは元ノラ猫。保護施設の方によると、生後2か月ほどで母猫とはぐれ、やせ細り、衰弱していたところを保護されたそうです。その後は回復し、人になれるために一時的に小学生の男の子がいる家に預けられたことがあったとか。その子と息子の雰囲気がどことなく似ていることから、「慣れるのに少し時間がかかるかもしれないけれど、うまくいくように思います」と言ってくれました。
目の前にいるハナちゃんは、とてもかわいくて、私も息子も一目ぼれ。ハナちゃんは不安げに、ケージの中からこちらを見つめています。
「きちんとお世話しようね。猫ちゃんが落ちているものを食べないように、部屋はきれいにしよう」。息子と約束して、いよいよ飼う決心をした時です。私たちに近寄り、「僕も一緒に連れて行って!」と、足にスリスリしてくる子猫がいました。それが、ハットリくんです。
「2匹いると、猫同士で遊び相手になるし、留守番中も寂しくありませんよ」。施設の方のそんなアドバイスもあり、ハットリくんも迎えることに。思いがけず、2匹の猫との生活が始まりました。

外が大好き 隣にお忍び
私の家で飼っている2匹の猫のうち、オスの「ハットリ」(3歳)は、とても人なつっこい性格です。
飼い猫の母親から生まれ、4匹のきょうだいと一緒に、新たな飼い主を探すために保護施設に預けられていたのを譲り受けました。
きょうだいの中で体が一番大きかったハットリくんは最後まで飼い主が決まらなかったそうですが、初対面にもかかわらず、私と息子にスリスリと甘えてきて……。「この子も連れて帰りたい!」と、メスの「ハナ」(3歳)とともに迎えることを決めました。
ハットリくんは、私がテーブルやキッチンで仕事をしていると、すぐ近くにやってきます。オンラインで打ち合わせをしている時は必ずといっていいほど、画面に映り込んでいます。料理の撮影がある日は、猫たちには奥の部屋で過ごしてもらうのですが、時間がたつと、ハットリくんの「ミャーミャー」という声が聞こえてきます。「早く出して」といわんばかり。扉を開けると、勢いよく飛び出してきます。
編集者やカメラマンなど、私の周りには猫好きの人がたくさんいます。みんなに
好奇心も旺盛です。テラスに面した窓辺に座り、風に揺れる草木や、遊びに来る小鳥をよく観察しています。外に出るのも大好き。夫が用意した猫用のハーネスをつけて、よくテラスに出ます。空を見上げ、鉢植えの枝を前脚でチョンチョン。お散歩気分で楽しんでいます。
そんなハットリくんですが、一度、脱走事件を起こしました。ある夏の日、気づいたら部屋に姿がありません。慌てて捜すと、テラスにつながる窓の網戸が少し開いています。私がしっかり締めるのを忘れていたのです。
庭にもおらず、近所を捜し回りましたが、見つからない。青ざめながら家に帰ると、テラスから意気揚々と戻ってくるハットリくん。口にはセミをくわえています。驚きながらも、ほっとして、力が抜けました。
あとで分かったのですが、ハットリくんはお隣のベランダにおじゃまして遊んでいたそうです。すぐに帰ってきてくれて本当によかった。この事件以降、戸締まりには、いっそう気を付けるようになりました。
食いしん坊 台所に参上

私の1日は、2匹の猫とともにスタートします。たいてい、朝の5時や5時半に目覚まし時計をセットしており、アラームが鳴ると、高校生の息子の部屋で寝ていた「ハットリ」(オス、3歳)がトコトコと、私のベッドの上にやってきます。ずっしりとした重さを感じながら、ようやく体を起こして、そのまま一緒にキッチンに移動すると、「ハナ」(メス、3歳)も起きてきます。
ハナちゃんは野良猫だった時期があるせいか、食べることには貪欲で、鳴いてエサをおねだりしてきます。2匹の食事を用意し、水を替え、トイレの掃除をする。それが、私の朝の習慣です。
昼間は2匹とも寝ていることが多いです。日当たりのよい窓辺でくつろぐなど、思い思いに過ごしています。
午後6時頃になると、夕飯の時間。ミャーミャーと2匹の催促が始まります。おなかいっぱいになると、また一眠り。午後8、9時頃には元気になって、息子や私とおもちゃで遊んだり、2匹でじゃれ合ったりしています。
ハットリくんはまたたびのにおいがする、魚の形のぬいぐるみが大好きです。でも、動きがおっとりしているので、投げて遊んであげても、絶対に捕れません。そして、すぐに飽きてしまう。そんな光景がほほえましいです。
夜は2匹とも、息子のベッドで寝ます。ハットリくんは息子の両脚の間、ハナちゃんは左側の足元が定位置のようです。
2匹が小さかった頃は、家族が寝静まった夜中、猫同士で激しく追いかけっこしたりして遊んでいた時期もありました。
ある時、私が起きてキッチンに向かうと、一面にカツオ節がぶちまけられていました。料理で使ったカツオ節の袋をカウンターの上に置きっ放しにしていたところ、ひっかいて破られていたのです。袋の口は閉じていたものの、2匹にとっては強烈な香りを放っていたようです。
2匹にあげるエサは、基本はカリカリのドライフードですが、魚やささみ肉をゆでて、ほぐしてあげる時もあります。
調理していると、様子を見に近づいてきます。一度、家族が食べるために置いていたブリが一切れ消え、ベッドの下から見つかったという事件もありました。ハナちゃんが、私の気付かないうちにくわえて行ってしまったようです。
最近は飼い猫の平均寿命が延びていることもあるのか、健康志向の猫用フードも充実しています。余計な添加物を使わず、猫向けに塩分を控えめにした肉や魚の缶詰やカツオ節もあります。私も、素材や栄養を気にしながら、2匹の体にやさしい食べ物を用意してあげたいなと思っています。

「姉と弟」 家族に笑顔
2020年8月8日に2匹の猫を迎えてから、3年半が過ぎました。子猫だった「ハナ」(メス)、「ハットリ」(オス)もそれぞれ3歳。元気いっぱいです。
「猫を飼いたい」と切望した息子は、高校2年生になりました。親との会話が減っていく年頃ですが、猫を溺愛しているのは、私も息子も同じ。「ハナちゃんが、こんなかわいい姿で寝ていたよ」「ハットリくんのしぐさが面白かった」と写真を送り合うなど、2匹の存在は親子の会話のきっかけになっています。
ハナちゃん、ハットリくんからすると、息子は一番身近で、最も安心できる相手のようです。私は食事の世話をしてくれる人、夫はブラッシングをしてくれる人という位置づけかな。
人なつっこくて甘えん坊のハットリくん。怖がりだけど、しっかり者のハナちゃん。2匹に血のつながりはありませんが、本当のきょうだいみたいに仲良しです。
施設から譲り受ける時に「ハナちゃんの方がハットリくんより、1か月ほど先に生まれた」と聞いていたのですが、ハナちゃんとハットリくんは、まさに「姉と弟」のような関係です。
家にやってきたばかりの頃、好奇心旺盛なハットリくんは、新しい場所に戸惑うハナちゃんを先導するかのように家中を探検していました。今もハットリくんがテラスに出て遊ぶ姿を、ハナちゃんがよく見守っています。
ハットリくんは食事の時、エサを食べ散らかしてしまうのですが、ハナちゃんはそのあとをきれいにするように食べます。また、ハットリくんがクローゼットの中にいるのを知らずに、私が閉めてしまった時は、ハナちゃんが扉の前でそわそわして、「ハットリくんが中にいるよ!」と気付かせてくれました。
小さな頃から、ぴったり寄り添って眠っていた2匹。今もお互いを思いやっているのが伝わり、その絆に心が温かくなります。
猫を飼うのは初めてでしたが、2匹と暮らして、猫それぞれに個性があると、つくづく感じています。
ハットリくんは、自分から「なでて」と近寄ってきます。体重7キロほどと大きく、この頃は獣医師さんから「少し痩せた方がいいかな」と言われています。
ハナちゃんは割とクールな性格。ふわふわして気持ちよいので、私はつい抱っこしようとしつこくしてしまいます。ハナちゃんは、ちょっと迷惑そう。
猫がいると、気持ちが穏やかになります。家族の輪を保ってくれる猫たちを、ずっと大切にしたいです。
(このコラムは、読売新聞で2月、3月に掲載されたものをまとめて再掲載しています。)
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