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私の相棒、チワワとトイプードルのミックス犬「リリー」(メス、10歳)を紹介します。
30歳になったとき、自分以外の誰かに責任を持ちたいと思っていました。芸能生活を送って10年以上がたち、これまで色んな人たちに頼って支えてもらってきたので、「30歳からはちゃんと自分で生きよう」という意識があったんです。

茨城県の実家では犬を飼っていたので、元々、犬が好きだったのですが、ひとり暮らしでペットを迎えるのはちょっと難しいかなと思っていました。
誕生日が同じ 運命的!!
リリーを迎え入れたのは結構急で、ある日、運命的な出会いをしました。友人とドライブをしていたとき、車の中で「もしも犬を飼うならどんな子がいいか」という話になりました。私の理想は「白っぽいミックス犬の女の子」。
その後、ペットショップに立ち寄ると、なんとさっき話した通りの子がいたんです。しかも、誕生日が私と同じ10月23日。思わず「へえ~」となって、抱っこさせてもらったら、ものすごくかわいくて。
でも、一つの大切な命です。その場で自宅近くに動物病院があるかや仕事中に預かってくれる人がいるかなどを調べ、ひとり暮らしでも飼える環境かどうかを真剣に考えた上で連れて帰ることにしました。
実家では、私が生まれてから高校を卒業して芸能の世界で働くために上京するまでの間、計4頭の犬を飼いました。いずれも中型犬から大型犬。茨城県の田舎に住んでいたので、番犬みたいな存在でした。
そのうち一番印象深いのは、最後に実家で飼ったゴールデンレトリバーの「ゆき」(メス)です。人間味があって賢くて、一緒にお昼寝したり遊んだりしました。普段、散歩は父がしていたのですが、たまに私が連れて行くと、ゆきは決まったコースをちゃんと覚えていて、私を引っ張ってくれました。飼っていた4頭の中では最も付き合いが長かったので、老衰で亡くなったときは本当にさみしかったです。 そんなわけで、小さい頃から犬は身近な存在だったのですが、リリーは初めて室内で飼う小型犬。一人ですべてのお世話をするのも初めてでした。実家にいたときは、私は犬の遊び相手で、世話は親がやっていたので、リリーを飼い始めてから親のありがたみが身にしみて。リリーを迎えた最初の1か月は想像以上の大変さでした……。
初の「育児」、一緒に成長
運命的な出会いをして家族になったチワワとトイプードルのミックス犬のリリー。名前は私たちの共通点である誕生日に由来しています。
誕生日花や誕生日石を色々と調べた結果、誕生日石にちなんで、「リリー」と名付けました。
実家で犬を飼っていた経験があるとはいえ、大半のお世話は親がやっていたので、一人ですべてやるのはリリーが初めて。リリーとの生活は試行錯誤の連続で、どうしていいのか分からず、一時、「育児ノイローゼ」のようになったこともありました。

一緒に暮らし始めて最初の1週間は夜鳴きに悩みました。「迎え入れたときはフリーにしないでケージの中で生活させてください。寝るときもケージの中で過ごさせてください」。そんなふうに世話の仕方を紹介していた本を参考に、実践。ところが、夜鳴きは全然止まらなくて……。
「近所迷惑になったらどうしよう」。悩みすぎて、気づいたら私も一緒に泣いていました。いま思えば、別にケージに入れることにこだわらなくてもよかったかなと思うのですが、当時は何もかもが初めて。「本に書いてある通りにしなくてはいけないんだ」と思い込んでいました。
トイレを覚えるまでも大変でした。オムツを着けていない赤ちゃんが家中をはいはいしているようなもので、カーペットの上など、いろんなところに粗相をしてしまって。
注意しても聞いてくれないし、ワクチン接種もまだ終わっていなかったので外へ連れて行ってあげることもできず。お互いにストレスをためていたのかもしれません。
ある程度のしつけができるようになるまでは、犬の飼育情報を発信している人のホームページや本を読んだり、動物病院の先生に相談したりして、とにかく勉強しました。犬の保育園にも通って、ドッグトレーナーの指導の下、トレーニングを受けたりもしましたね。
1年くらいたったころでしょうか。そうやって学びながら一緒に過ごすうちにお互いに慣れてきて、そこからはリリーとの生活がいっそう楽しくなりました。リリーを家の中で自由にさせたうえで、どうしたらお互いが気持ちよく過ごせるか、コツがつかめるようになったんです。
今では、リリーが喜ぶことや気に入らないこと、怖がっていることなどをちゃんと理解できます。元々、人が大好きなので、どこに連れて行ってもみんなにかわいがってもらえるのが自慢です。
志村けんさん番組で共演
ある時、深夜勤務で疲れ切ったラジオ局のスタッフさんが「癒やされるわ~」なんて言っていたので、セラピードッグみたいなところがあるようです。犬が苦手な人でも、リリーと接すると「大丈夫かな」と思うみたいで、皆さんにかわいがってもらっています。

リリーの人見知りしない性格のおかげで、一緒に仕事をさせてもらう機会も増えました。毎年出している私のカレンダーには必ず登場するし、私の地元・茨城県の観光名所や名物を紹介する県運営の動画サイト「いばキラTV」では、ペット連れでも楽しめるスポットなどを一緒に訪れました。
中でも思い出深いのは、志村けんさんのコント番組に何度か一緒に出演させてもらったこと。リリーはすぐに志村さんを好きになり、志村さんもすごくかわいがってくださいました。
志村さんはご自身でも犬を飼っていたし、動物番組にも出演していたからか、何かオーラがあるみたい。本当に不思議なんですけど、リリーは志村さんとの初対面ですぐにおなかを見せました。志村さんが立ち去るときには、悲しそうに「行かないで~」と鳴いていましたね。
そうやって何度かスタジオに連れて行くうちに、ある時、出演予定のワンちゃんがコントのイメージに合わず、志村さんが「リリーにしよう」と言ってくださり、出演がかなったんです。
あるコントは、女の子たちがリリーを囲んで「かわいい」と言っていると、志村さんも「本当だ。かわいい」と言って、下を向き、カツラが落ちてしまうというオチ。志村さんのカツラが勢いよく落ちても、リリーは驚かずにじっとしていました。別のコントでも、志村さんに抱っこされるとずっとご機嫌でした。
あの現場では、タレント犬かと思うくらい、迷惑をかけずにちゃんとお芝居していましたね。番組のエンドロールにも、出演者として「磯山リリー」って入れてもらって。
自分が小さい頃から見ていたコント番組に、自分が出演しているだけでもすごいことなのに、愛犬まで参加させてもらえるなんて、めちゃくちゃ不思議な気分です。なかなかできない経験をさせてもらって、私の宝物になっています。
犬のおかげで行動派に
チワワとトイプードルのミックス犬リリーのおかげで、人付き合いの幅が広がりました。
通っているペットサロンのスタッフさんや常連さんとは仲良しで、みんなのプライベートを知っているぐらい。大人になってから新しい友達ができるなんてなかなかないですよね。一緒にイベントに行ったり、誰かの家に集まってご飯を食べたりしています。

人にも犬にも愛情深い人ばかりで、犬のご飯を手作りしたり、犬の整体をやっていたりする人もいます。時にはリリーを預かってもらうこともあります。何かあったら助けてくれる、とてもありがたい存在です。
保護犬を飼っている人も多く、保護犬や保護猫の活動にも目が向くようになりました。私も活動団体に寄付して応援しています。こうした活動って、知ることが一番大切だなと思います。
それから、私は案外人見知りなんですが、犬のことになると積極的になるんです。人格が変わるというか。SNSで気になるドッグフードを見かけると、「そのフードどうですか?」と、メッセージを送ってしまうことも。それがきっかけで、SNS上で付き合い続けている人もいます。
リリーももう10歳のシニア犬です。ご飯を1年前ぐらいに変えました。ずっとドライフードだけでしたが、おいしいご飯を食べてもらおうと毎日違うものをあげています。たまにお肉やお魚などのフレッシュフードを手作りします。
そうしたら毛が増えて色も濃くなり、ますます元気になっちゃって。血液検査でもどこも問題がなく、いいことずくめです。栄養が偏らないようにサプリもあげます。「旬のものを食べるのがいい」というのは、人間と一緒なんですよね。リリーのための食事の勉強が、自分のためにもなっていて一石二鳥です。リリーが喜んで食べている姿を見ると、私もうれしくなります。
マッサージや筋力トレーニングにも取り組んでいます。私よりもちゃんとやっているので、結果が体に出ていますね。
この10年間、リリーは元気に過ごしてきましたが、犬は人より寿命が短いので一年一年を大切に過ごしたいと考えるようになりました。一緒に出掛ける機会を増やして、たくさん思い出を作りたいです。東京と違う空気を吸うと元気になるようです。これまでも伊豆の温泉などへ出かけましたが、今後もいろいろな場所に一緒に行けたらと思います。
リリーが元気をくれるから、仕事を頑張れます。リリーがいるからより楽しく過ごせるし、いろんな人にも出会えます。毎日、一日の終わりに「幸せだな」と感じます。
(このコラムは、読売新聞で5月、6月に掲載されたものをまとめて再掲載しています。)
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