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我が家のペットたちを紹介します。保護犬の「とろろ」(オス、推定15歳)、保護猫の「ごま」(オス、13歳)と「むぎ」(メス、10歳)です。
3匹迎えて 日常一変

最初に迎えたのは、ごまでした。2011年5月、いつもはどちらかといえば仏頂面で「ただいまー」という娘が、やたらニコニコ顔で帰宅。何事かと思ったら、カバンから子猫が出てきたのです。
「なんてかわいいの!」。元々動物が大好きで実家で猫を飼っていたこともあったので、私は驚くというより、うれしくて声を弾ませました。
娘によると、ごまは何匹かの子猫と一緒に捨てられていたそう。他の猫は新たな飼い主に引き取られたものの、顔の模様が独特なごまは残ってしまい、引き取ってきたとのことでした。
小さくて、フワフワしていて、かわいかった! 「手乗り文鳥」ほどのサイズでしたが、すっかり成長して、今では6キロ近い大きさになりました……。
実はその時、とろろを引き取ることが決まっていました。以前飼っていた愛犬が死に、3年ほどたっていました。「また犬を飼いたいね」と娘と話していて、保護団体のサイトをよくチェックしていました。当時、保護犬は今ほど認知されていませんでしたが、テレビか何かで知り、「次は保護犬を引き取ろう」と考えていたのです。
そうしているうちに目に留まったのが、推定2歳の雑種犬、とろろでした。関東地方のどこかで保護された野犬とのこと。なんだか情けない顔をしていて、放っておけない気持ちになりました。
保護団体に問い合わせると、「近々譲渡会がある」と言われて、遠方まで会いに行きました。対面すると、引っ込み思案でおとなしそうな様子。「これまでも興味を示す人はいたけれども、大きな犬なので断られている」と説明されました。
でも、私は大きな犬が大好き。一度会ってしまったら、断るという選択肢はなく、「うちにくる?」ということになりました。ご縁ですよね。仕事が一段落した11年6月に迎える約束をしたのです。
ひと月ほど前には、思いがけず子猫が加わっていましたから、我が家は一気ににぎやかに。キャットタワー、爪研ぎ、ペット用のおもちゃ……。急にモノが増えて、ヤンチャなごまは、壁紙を破るなど、あらゆる悪事を働きました。
それでも、ペットがいるのは楽しい。いとしい日常が始まりました。
猫同士 適度な距離感
保護犬のとろろ、保護猫のごまと暮らし始めてから3年後、2014年8月に仲間入りしたのが保護猫の「むぎ」(メス、10歳)です。
知り合いを通じて猫の保護活動をしている人を紹介され、そこから引き取りました。その時、むぎは生後3、4か月。小さく、顔がまん丸でかわいい子猫でした。
とろろ、ごまと食べ物の名前が続いていたので、同様に食べ物から着想して、娘が名付けました。ちなみに、とろろとごまも名付け親は娘です。とろろは「とろろに、ちょっとしょうゆを垂らしたような色だから」とのこと。確かに、彼は真っ白ではなく、ベージュがかった白い犬です。ごまは、鼻の下に黒い点の模様があることが由来。うちには、横文字のしゃれた名前のペットはいません(笑)。
むぎは活発で、我が家の「破壊王」。私のお気に入りのカーペットやソファで爪を研ぎ、ボロボロにしてしまいました。しかも、私の顔を見ながら研ぐので、もはや笑ってしまいます。猫を飼っている限り、これはしょうがない。宿命です。

むぎを引き取った頃の話に戻しましょう。とろろはおっとりとした性格なので、子猫が加わっても大丈夫だろうと(案の定、問題ありませんでした)。それより心配したのが、ごまとの相性です。むぎは遊んでほしくて、ごまの後ろをピタッとついて歩きます。でも、犬のとろろと育ち、おそらく自分のことを「半分犬、半分人間」と思っているごま。「なんだ、この小さい生き物は」と、当初うっとうしそうにしていました。
それでも徐々に慣れたのか、「仕方ない、こいつも家族」と心を決めたのか、今は適度な距離感を保ちながら関係性を築いています。これは人間関係でも大事なことかもしれません。
ごまをかわいがっていると、むぎは「私も! 私も!」と、アピールしてきます。ソファで私がくつろいでいる時も、むぎはそばに来て「ニャア、ニャア」と盛んにおしゃべり。いつも構ってほしい、下の子気質の猫です。一方、「僕は別に」という態度のごまは、「ツンデレ男子」といったところでしょうか。
ごまは、私の手から水を飲むのが大好きです。私が洗面所で手を洗っていると、「水をちょうだい」とせがんできます。すると、ここにも、むぎが登場。私が両手で水をすくうと、ググッとあごを突っ込み、ごまより先に水を飲んでしまうこともあります。その間、ごまは、むぎが飲み終わるのをじっと待っています。
ごまのほうがおとなしく、遠慮しがちなのかと思いきや、自分が寝たい場所にむぎがいると、どかすこともあります。見ていて飽きない、面白い関係性。2匹の間で、何かしらバランスをとっているのでしょうか。
のんびり屋 本当に野犬?
とろろは元々野犬です。2011年に我が家に来た際は、「ここにいていいのかな」と、所在なげにしていました。保護先で彼が使っていたというチェック柄の布団と一緒にやってきて、ずっとその上に座っていました。
いたずらをすることは皆無。保護先でしっかりしつけてもらっていたのか、うちに来た時から私の横に付き、落ち着いて散歩することもできました。元野犬のとろろにとって、リードをつけての散歩は難儀なはずなのですが……。

とにかく、とろろは優しくて、のんびりとした性格です。ごまやむぎを遠ざけたりいじめたりすることはありません。こんな性格で、どうやって野山で生きてきたのか。本当に不思議。もし彼が話せるなら聞いてみたいですね。「当時は大変だったんだよ~。雷が怖くてさ」なんて、話を聞かせてくれるのでしょうか(笑)。
ただ、野犬の名残を感じさせる部分もあります。例えば、おなか丸出しの無防備な姿では寝ません。自身の主張もあります。散歩中、銀行に立ち寄るために、いつもと違う道を進もうとすると、「どこに行くんだ」と身構えます。えさは同じものを食べ続けないので、3種類ほど用意し、日を変えて出しています。
あと、犬が苦手ですね。散歩でほかの犬にほえられると、顔を向けず、ただ前を見て歩き続けます。以前、ドッグランに連れて行った時は、「遊ぼう、おいで」という私の呼びかけに全く反応せず、出口のほうを向いて座っていました(笑)。
優しくて、頑固で、怖がりで……。考えてみると、飼っている3匹のうち一番つかみどころがないのが、とろろかもしれません。でも、そんなことはどうでもいい。きっと大変だった野犬時代を乗り越え、我が家へ来てくれたのですから。
とろろや猫たちを飼う中で、動物福祉への関心も高まりました。最近は、保護された犬猫の問題について考えるトークイベントに参加させてもらうことも。いろいろ話を聞くと、犬猫が保護施設に送られる原因は、人間の勝手な都合によることが多い。飼えなくなった理由が「多忙で世話が大変になったから」などと聞くと、胸が痛みます。正しい飼育知識の普及が必要です。
保護団体の皆さんは「私たちの活動がなくなることが、動物たちにとって好ましい社会」と言います。私も、そんな未来が来ることを祈っています。
見送る日まで 幸せに
とろろと、ごま、むぎを飼う前、我が家には「ロビン」という黒いラブラドルレトリバーのオス犬がいました。
好奇心旺盛で活発。散歩中、よく私のことを引っ張りました。ロビンの勢いで、私は何度道路にバッグの中身をぶちまけたことでしょう。でも、おとなしかったらロビンじゃない。ヤンチャなところも、いとしかったです。
ある時、雑誌社から「ロビンと一緒に撮影したい」と打診され、多摩川沿いで撮影することになりました。ロビンは水遊びが大好き。川を見るや、私を引っ張り、一目散に川に向かって走り出しました。撮影があるのに、ぬれるわけにはいきません。
「ロビンーー!!」
私は声を張りあげて、ギリギリのところでストップ。対岸で釣りをしていた人たちが一斉にこちらを見たので、よほど大きな声だったのでしょう。今ではいい思い出です(笑)。
元気なロビンも病には勝てず、約15年前、11歳で虹の橋を渡りました。私は感動的な映画を見ても泣くことはあまりなく、ドライな性格だと思っていたのですが、この時ばかりは泣いて、泣いて……。自分でもびっくりしましたね。しばらくして、車でロビンとの散歩コースを通ったら、うわっと大量の涙があふれ出てきたことも。結局、その街からは引っ越しました。
そして今、新たに出会った愛犬と愛猫計3匹と暮らしています。皆すでにシニア期。いずれ別れのときが訪れるでしょう。考えると

できれば長患いをせずコロリと逝く、「ピンピンコロリ」であってほしいと願っています。人によって考え方は異なるでしょうが、私は必要以上に入院させたり、延命措置を施したりしようとは思っていません。動物は話せないので、最期に何をしても後悔が残るのですが、なるべく自然に任せてストレスなく過ごさせたいと思っています。
コロナ禍で外出自粛になった時、ペットがいることのありがたみを痛感しました。仕事にも行かず、誰にも会わず、みんなが家にこもって、異様な空気が漂っていました。
でも、とろろ、ごま、むぎにそんなことは関係なく、変わらぬ日常が流れていました。その姿に救われ、私も平静でいられたのです。
3匹との暮らしは、何ものにも代えがたい。彼らが「幸せだな」と思えるよう、これからも寄り添って暮らしていきたいと思っています。
(このコラムは、読売新聞で9月、10月に掲載されたものをまとめて再掲載しています。)
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