スマホ2時間条例「ありえない」批判殺到でも全国各地にユニーク条例
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スマートフォンの使用は2時間まで――。愛知県豊明市で、仕事や勉強を除いた余暇でのスマホなどの使用について1日2時間以内を目安とする条例が、10月から施行されました。
この条例は、スマホやタブレット端末などの適正使用を促すことが目的で、罰則や強制力はありません。子どもの使用について、小学生以下は午後9時まで、中学生以上は午後10時までを目安として、家庭用のルールを作るよう促す内容も盛り込まれています。

同市の担当者によると、「2時間なんてありえない」「市が決めることじゃなく家庭の問題だ」など、この条例に反対する意見が300件以上あったそうです。ただ、SNSや動画視聴などに没頭し、睡眠や家庭団らんの時間が削られているとの懸念もあるため、同市は「スマホ利用を考えるきっかけとしたい」としています。
条例とは、都道府県や市町村などが、その地域の特性や実情に合わせて、住民に義務を課したり、制限を設けたりできる独自のルールです。全国の都道府県にある「迷惑防止条例」のように罰則のある条例もあります。
今年4月に施行された東京都のカスタマー・ハラスメント防止条例には罰則規定が設けられていませんが、三重県は罰則付きのカスハラ防止条例を2026年度から施行することを目指しています。
自治体の独自ルールのため、「なぜ、うちの市だけ?」といった疑問の声や、「罰則がなければ意味がない」と軽視する意見もあります。にもかかわらず、各自治体が「条例化」に踏み切る背景には、地域特有の課題を抱えていたり、住民の安全や福祉のニーズに応えたり、産業振興やまちづくりなどへの住民意識の醸成を期待したりするためです。ユニークな条例を一部紹介します。
豪雪にうんざりなのに「雪となかよく」
【香川県】ネット・ゲーム依存症対策条例
2020年4月施行。インターネットとコンピューターゲームの利用時間について、18歳未満の未成年を対象に、ゲームは1日60分、休日は90分までと定めています。スマホは中学生以下が午後9時まで、それ以外は午後10時までという目安を設けています。
【鹿児島県屋久島町】猿の餌付け禁止条例
2007年10月施行。野生の猿への餌付けが原因で、猿が住民を襲ったり、人家に侵入したりする被害が深刻化したため条例を制定。猿を野生に戻し、人間との適切な距離間を保つことで共生を目指すものです。猿にエサを与える行為を禁止する条例は、大阪府箕面市、栃木県日光市、群馬県みなかみ町、福島市などへも広がっています。
【秋田県横手市】雪となかよく暮らす条例
2005年10月施行。雪下ろしや除雪などを強いられ、冬のやっかいものとされる雪は、一方で貴重な水資源であり、雪国特有の文化を育む源であると市民の意識を変える目的で制定されました。豪雪地帯の同市は雪まつり「かまくら」でも有名です。
【愛知県東海市】トマトで健康づくり条例
2014年9月施行。食品メーカー「カゴメ」発祥の地であることを踏まえ、トマトを活用した健康づくりを推進することを目的に制定されました。毎月10日を“トマトの日”と定めるとともに、健康的な食生活に向けた意識の高揚を図るため、トマトジュースによる乾杯を推奨しています。
【兵庫県小野市】福祉給付制度適正化条例
2013年4月施行。生活保護や児童扶養手当の不正受給・浪費などの問題を防ぐことを目的として制定されました。給付金をギャンブルやパチンコ、競輪、競馬などに費やし、生活が維持できなくなるような事態を招いてはならないとし、問題のある受給者について市民に情報提供を求めています。
このほかにも、「牛乳で乾杯条例」(北海道中標津町)、「梅干しでおにぎり条例」(和歌山県みなべ町)、「りんごまるかじり条例」(青森県板柳町)など、地域の特産品の普及を狙った条例も数多くあります。
「あえて自治体が条例化する必要があるのか」と疑問を感じるものもありますが、最近では、世代や地域によって「常識」や「マナー」の範囲があいまいになっている事柄も少なくなく、明文化する意味はあるのかもしれません。また、地元の特産品や地域課題などを知るきっかけにもなりそうです。
いずれにせよ、スマホの使用時間を巡って親子げんかを招いてしまうようなことにならず、生活者に近い自治体が作る条例は、暮らしを豊かにするものであってほしいと願います。
(読売新聞メディア局 鈴木幸大)
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