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コーンスネークのヘビコ(メス、9歳)とガリちゃん(オス、8歳)と暮らしている私は、幼い頃に絵本でヘビに興味を持ち、図鑑でヘビの真実を知って敬愛心を抱くようになった。思春期になっても「ヘビいい」「ヘビ好き」は変わらず、成人になり、働き、時々無職を経験しながら家族に心配されつつ年を重ね、29歳で壇蜜になった。
家族はますます心配したが気にせず、ヘビとお近づきになりたい、どうしたらヘビと仲良くできるか、そんなことを頭の片隅で考えながら壇蜜としての務めを果たす日々。お陰さまで「そこそこ」世間から認知されるようになり、食べていけるんじゃないかと、ほんのり期待を抱えた頃、ペットが飼育できる集合住宅に引っ越した。

まずは、「猫を飼う」「朝日まぶしいベランダでスポーツドリンクを飲む」「アロマキャンドルのともしびで優雅なバスタイムを過ごす」という、昔から考えていた「独り暮らしの女のたしなみ」をこなすことから始めたが、それらはさっさと実現した。「次は、何するんだっけ?」となって、ヘビとの共生があったじゃないか!と、膝をたたく勢いで思い出した。
いきなり「ヘビを飼いたい」なんて言ったら、家族から「だめ!」「やだ!」「出張中、代わりに世話なんかしないから!」という拒絶反応の応酬が待ち構えているであろうことは想像できた。餌は週1回ぐらい、冷凍ネズミを解凍して与えるだけだし、排せつも週1~2回ぐらいで臭いもさほどきつくないし、と懐柔案も用意したが、説得力が弱い気がした。
「じゃ、内緒で飼うか……」という結論に至る。しばらくバレなきゃいい、バレたら「もらい手がなくて、つい」と情に訴えて揺さぶるしかないと。
そして36歳のある日、都内の有名な
小さなケースに入った幼体のヘビのコーナーで「小さいなぁ」と顔を近づける。生っぽい「生き物」独特の臭いを感じていたら、ある小さなヘビと目が合った。体長10センチくらい。ピンクのまだら模様。赤くてつぶらな目はイクラを思わせ、舌をチロチロ出したり引っ込めたりしている。
他の幼体たちとは違う「オンナノコ」「メルヘン」「なめたらイチゴミルクの味がしそう」と感じさせる魅力があった。スタッフに聞くと「コーンスネークっていいます。穏やかな性格で初心者向けですね」とのこと。最大2メートルくらいに育つと聞いた時には一瞬ためらったが、イクラ目にとらわれ、気付いたら茶色いペーパーバッグに入ったヘビを片手にお店を出ていた。
「じゃあ帰ろうか。ヘビコ」とつぶやく。あれだけ憧れ、妄想し、難攻不落かと諦めかけていた「ヘビを飼う」は、こうしてあっけなく実現した。ヘビコという名前つきで。(タレント 壇蜜)
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