[政治の現場]維新研究<6>都構想 3度目へ意欲…吉村氏悲願 自民は反発

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 「なぜ大阪都構想の実現が前提になっているのか」

 11月19日、日本維新の会がまとめた「副首都構想」の法案の骨子素案を巡り、与党協議の自民党側実務者である衆院議員の簗和生(46)はこう問いただした。

 維新側は、副首都になる自治体は道府県と政令市が一体的であることが望ましいなどと説明したが、自民側からは「『都構想ありき』と見られたら野党は賛成しない」との指摘も出た。与党は衆院で過半数を回復したが、参院では少数のままだ。維新側の一人は「もっともな指摘だ」と受け止めざるを得なかった。

 維新が掲げる副首都構想は、東京に次ぐ経済圏を作り、災害時に首都機能を代替する機能を持たせる狙いだ。これに対し、都構想は、大阪市を廃止して大阪府との二重行政解消を図る、といった地方の課題解決が目的となっている。

 両構想は別物だが、維新代表で大阪府知事の吉村洋文(50)の強い意向を受け、維新は都構想に基づく特別区を設置していることを、副首都の認定条件の一つとし、二つの構想を結びつけた。

 都構想は結党以来、維新の看板政策だ。

 「俺たちが何で維新に入ったんか、もう一回思い出そうや。都構想に突っ込むしかない」。連立合意前の10月12日、吉村は大阪市内のフグ料理店で、大阪市議時代の初当選同期約20人を前にこう熱弁を振るった。

 都構想を巡っては、2015年、20年の2回の住民投票で、制度案がいずれも僅差で否決された。結果、地域政党・大阪維新の会代表だった橋下徹(56)、松井一郎(61)はそれぞれ責任を取って政界を去った。

 吉村は知事就任後、「3度目に挑戦することはない」と明言したが、最近は発言を変化させている。「僕の原点と行動軸は都構想だ」と周囲に語り、都構想実現への意欲を隠さない。副首都法案を成立させてから、知事任期満了を迎える27年4月までに3度目の住民投票に踏み切ることを狙っているとの見方がもっぱらだ。

 今月16日には、首相の高市早苗(64)との党首会談で、副首都法案を「来年の通常国会でしっかりやっていきましょう」と切り出し、高市も応じた。

 だが、連立を組む自民は、都構想の実現が条件となっている副首都構想に反発が根強い。24日の協議でも両党の溝は埋まらず、年内を予定していた論点整理は越年が決まった。

 自民大阪府連会長の松川るい(54)らは翌25日、党本部で政調会長の小林鷹之(51)に、「特別区を副首都の要件とするのは認められない」と迫った。府連は「住民サービスが低下する」と指摘し、一貫して都構想を批判してきたためだ。維新がこだわる都構想の実現が、かえって副首都構想の 膠着こうちゃく を招く状態に陥っている。

 維新内には「自民が副首都構想に協力しないなら、連立離脱だ」(幹部)との強硬論もくすぶる。

 とはいえ、維新側も一枚岩ではない。松井は23日、両構想を結びつける吉村の進め方に対し、Xで「強引な手法はかえって反発される」と批判した。実現すれば議員の身分を失う若手の大阪市議からも「ついて行けん」との声が出ている。

 維新は11年以来、府知事と大阪市長ポストを押さえており、「すでに二重行政は解消されている。都構想を進める必要はない」との指摘もある。

 3度目の否決となれば、維新は結党以来の旗印を失うリスクを抱える。それでも政治生命をかけて実現に突き進もうとする吉村の覚悟は、自民に伝わらないままだ。(敬称略)

(この連載は、山崎崇史、三歩一真希、田村直広、山本貴広、大阪社会部・林興希、大槻浩之、猪原章、岡田優香が担当しました)

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