「乗り遅れ覚えたときは死語になる」「ふてほどの意味がわからずふて寝する」…Web句会入選者発表! 第20回のテーマは「受験」

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 読売新聞オンライン(YOL)の「Web句会」第19回の入選者が決まりました。テーマ「流行語」に寄せられた3621句の中から秀逸に選ばれたのは・・・? 選者の片山一弘編集委員が講評しました。

 

第19回のテーマは「流行語」。3621句が寄せられました

 今回のテーマは「流行語」。1751人から3621句の応募がありました。

 毎年、年末が近づき、ユーキャン新語・流行語大賞(「現代用語の基礎知識」選)のノミネート語や大賞が発表されると、「よみうり時事川柳」には、「そんな言葉知らない」という句がたくさん届くのが常です(NHK「紅白歌合戦」の出場歌手や曲の発表に対しても、同じ現象が起きます)。

 今回のWeb句会も、実質的には「新語・流行語大賞」についての句が大半を占め、おそらく半分以上を「そんな言葉知らない」「意味がわからない」という趣旨の句が占めました。そこまでは多くの人が思うことなので、その気持ちや現実をどう切り取るかが腕の見せ所となります。

 〈ノミネートされた言葉をまずググり〉。筆者もやります。仕事柄、還暦という年齢のわりには新しい言葉を知っている方だとは思いますが、それでも近年はノミネートされた言葉の1~2割は知りません。もっとも、最近の若者は我々と違い、ネットで調べ物をする際にはグーグルよりもTikTokやインスタグラムを検索したりするそうですね。

 〈ふてほどの意味がわからずふて寝する〉。24年の新語・流行語大賞に選ばれた「ふてほど」には例年以上に「知らない」「わからない」との声が、世間やネット上でも聞こえました。ドラマ「不適切にもほどがある」(TBS系)の略称ですが、タイトルそのままではダメだったんですかね。「ふてほど」を扱った句が数多く届く中、言葉遊びが巧みで情景が目に浮かぶこの句を選びました。わからなくて不機嫌になる自分を外から眺める「離見の見」が利いています。

 〈乗り遅れ覚えたときは死語になる〉。流行語というものにそんな印象を持っている人は、昔から少なくないと思います。年をとったせいで流行語がわからない、と嘆く句も多かったのですが、一家に一台のテレビを老若男女の家族全員で見ていた時代と、一人一台のスマホでそれぞれ違うコンテンツに接している今とでは、流行語というもののあり方自体も違うものになっています。

 〈流行語知らないこれが多様性〉という句は、まさにそんな状況を喝破しています。「多様性」自体もまた、近年とみに重視されるようになった「新語」でもあります。社会の細分化が進んだとしても、流行語のトップ10、あるいは30のノミネート語を選んで示すことには同時代を記録する意義があると思いますが、その中で差をつけて1位を選ぶ作業の難しさは今後も増していくことでしょう。〈大賞もやがて該当なしになり〉という日も来るのかもしれません。

 個々の流行語を扱った句もありました。〈祖母手製ヤサイーボウルこれサラダ〉。ノミネートされたアサイーボウル(昔からあるメニューなのに、と思いましたが、昨年また再流行したのだそうで)をもじって、おばあさまが昔から作っているサラダを読み替えた形ですが、言葉遊びの強引さ、世代間の飛躍の大きさが面白いところです。

 〈40歳「初老」だと知るパリ五輪〉。24年夏のパリ五輪で銅メダルを獲得した総合馬術団体のメンバーが自称した「初老ジャパン」も話題になりました。当時の選手たちは最年長の大岩義明選手が48歳。乗馬はかつて67歳で五輪に出場した選手がいた競技ですし、現代の語感では48歳で初老は早いのでは、という印象も受けますが、語義をひもとくと「初老」とは元々は40歳を意味する言葉。人の寿命が延びたことで、「初老」が指す位置も変化しているのでしょう。

 〈この言葉はやってるのはどの界隈〉。「界隈」は昔からある言葉ですが、24年のトップテンに選ばれました。趣味趣向を同じくする人々、というくらいの意味で使われることが増えています。これもまた、言葉の意味が時代とともに変化することを実感させる現象です。

 〈まじ卍覚えたけれど使えない〉。「まじ卍」は2010年代に女子中高生の間で流行したとされる言葉です。我々の感覚ではついこの間ですが、10代の若者に10年は長い歳月で、当事者たちにとってはもはや遠い昔のことでしょう。当時も今も、大人が無理して使う必要はないですね。

 そして今回の秀逸は〈大谷が毎年新語作ってる〉

 「二刀流」「ショータイム」など、大谷翔平選手のプロ入りや渡米をきっかけに、次々と新語・流行語が生まれてきました。24年の「50-50」(50本塁打と50盗塁を同一シーズンに達成)は前人未到の記録で、これも彼が生んだ新語といってよいでしょう。どんな時代にも、年齢や性別、ジャンルの壁を超えて、誰もが知る言葉を生み出すのがスーパースターの力、ということかもしれません。

(掲載句には選者が若干の修正を加える場合があります。ご了承ください)

Web句会「流行語」の入選作はこちら

(秀)大谷が毎年新語作ってる(東京都・アメショー)
ノミネートされた言葉をまずググり(奈良県・おとん)
ふてほどの意味がわからずふて寝する(神奈川県・湘南のオパ)
乗り遅れ覚えたときは死語になる(佐賀県・花咲か爺)
流行語知らないこれが多様性(東京都・みんな違っていい)
大賞もやがて該当なしになり(茨城県・橋本康宏)
祖母手製ヤサイーボウルこれサラダ(茨城県・それは違う)
40歳「初老」だと知るパリ五輪(兵庫県・春野びおら)
この言葉はやってるのはどの界隈(神奈川県・ぺぽ)
まじ卍覚えたけれど使えない(千葉県・夏蜜柑)

Web句会第20回のテーマは「受験」

 Web句会の次回のテーマは「受験」。今まさに身近な人が立ち向かっている最中、という方もおられることでしょう。ご自身やお子さんなどの経験も踏まえ、最近の受験にまつわる出来事やニュースを句に詠んでみてください。締め切りは2月16日です。応募は下のボタンから。

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