<地上波で放送してよアルペン競技><今もまだそだねそだねが口癖に>…Web句会「冬季オリンピック」入選者発表! 次回のテーマは「テレビ」
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読売新聞オンライン(YOL)の「Web句会」第27回の入選者が決まりました。テーマ「冬季オリンピック」に寄せられた3624句の中から秀逸に選ばれたのは・・・? 選者の片山一弘編集委員が講評しました。

今回のテーマは「冬季オリンピック」。1845人から3624句が寄せられました。ミラノ・コルティナ五輪が、きょう2月6日に開幕。徐々に注目が高まっているところです。
〈三度目は日本じゃできぬ温暖化〉開幕前の現地からは、雪不足の話題が報じられました。地球温暖化の影響か、近年は冬季五輪のたびに雪不足が話題になります。1972年札幌、98年長野と2度の冬季五輪を開催した日本ですが、3度目をやれる日は来るのでしょうか。そもそも冬季五輪がいつまでやれるのか、将来は極地でしか開けないのでは、との趣旨の句も目立ちました。
〈コルティーナ懐かし猪谷の銀メダル〉今回の開催地のひとつコルティナダンペッツォは、1956年の冬季五輪開催地。猪谷千春選手がアルペンスキー男子回転で銀メダルを獲得した思い出の地でもあります。日本選手が冬季五輪で手にした最初のメダルであるとともに、実はこの種目で初めて欧州人以外が獲得したメダル。当時の読売新聞も大きく報じていました。
〈地上波で放送してよアルペン競技〉猪谷選手が活躍したアルペンスキーは冬季五輪の華。スキーに詳しくない筆者でも、インゲマル・ステンマルク(スウェーデン)、アルベルト・トンバ(イタリア)といった70~90年代のスター選手の名はすらすらと出てくるのですが、現在のスターは正直なところ知りません。実際には地上波でのテレビ中継がないわけではないのですが、フィギュアスケートを筆頭に他の競技でメダリストやメダル候補が増え、注目が集まるにつれて、アルペンスキーがテレビで取り上げられる頻度は減ってきました。日本勢がさほど強くなくても、主要競技はしっかり扱った方がよいのでは、とは夏冬問わず、近年の五輪中継に感じるところです。
〈モーグルにレルヒ少佐が腰抜かす〉一方、新興競技の代表格のひとつがフリースタイルスキーのモーグル。1992年のアルベールビル五輪から正式種目となり、98年の長野五輪で里谷多英選手が日本の女子選手として冬季五輪初の金メダルを獲得して、注目が高まりました。レルヒ少佐とは、1911年、今の新潟県上越市で、日本に初めてスキー技術をもたらしたとされるオーストリア・ハンガリー帝国の軍人、テオドール・フォン・レルヒ少佐(当時)のこと。当時は1本の長いストックを用いており、あまり速度も出さなかったようですから、猛スピードでコブを乗り越えながら滑り降りるモーグルを見たら仰天するかもしれませんね。
〈押し入れに今やひっそりスノーレッツ〉長野五輪の話題をもうひとつ。スノーレッツは長野五輪のマスコットで、4羽のフクロウです。当時の東京ではあまりグッズを見た記憶がないのですが、作者の住む長野では人気だったのでしょう。筆者もジャンプとスピードスケートを観戦して、現地の熱気に触れたのを思い出しました。あれから28年。ネットのフリマアプリをのぞくと、スノーレッツのぬいぐるみ、結構出品されていますね。
〈サングラス下の笑顔の幼さよ〉競技によって選手の年齢層はさまざまですが、冬季競技で若い選手が多いのが女子スノーボード。選手はみなサングラスを兼ねた大きなゴーグルをつけているので、ダイナミックな大技と、競技後に見せる素顔のあどけなさの落差に驚かされます。〈サングラス〉を〈ゴーグルの〉とした方が、よりウィンタースポーツらしさが出たことでしょう。今大会の日本代表では清水さら、工藤璃星両選手が16歳。表彰台に立てば冬季五輪の日本女子では史上最年少となります。
〈今度こそ沙羅ちゃんきっと今度こそ〉スキージャンプ女子の高梨沙羅選手は今回が4度目の出場。2018年平昌五輪ではノーマルヒルで銅メダル、他の2大会では4位。立派な成績ながら、ワールドカップ通算63勝は男女合わせて最多という輝かしい実績からすると、五輪では北京でのスーツ規定違反による失格など、不運続きの印象も否めません。10代から活躍してきた“沙羅ちゃん”も29歳。「今度こそ」の思いで応援するファンも多いことでしょう。
〈今もまだそだねそだねが口癖に〉2018年の平昌五輪。カーリング女子日本代表のロコ・ソラーレは銅メダルを獲得し、この競技で初の表彰台に立ちました。試合中にさかんに交わされる会話の「そだねー」という言葉は、この年の新語・流行語大賞にも選ばれました。続く22年の北京五輪では銀メダル。すっかり国民の耳になじみましたが、今大会では代表になれず、代わってフォルティウスが出場します。スキップの吉村紗也香選手ら3人は、ロコ・ソラーレと同じ北海道北見市出身。試合中にどんな会話を交わすかも楽しみです。
そして、今回の秀逸には〈応援はコタツ抜け出し正座する〉を選びました。「こたつで応援」という要素の入った句がとても多かったのですが、こたつを単なる背景にとどめず、見ているだけで思わず力が入る心境を描写する小道具として巧みに使ったことで、ひと味違う句となりました。
締め切り時点では冬季五輪の記憶は4年前のせいか、やや抽象的な句が多かったのは残念でした。これから毎日繰り広げられる熱戦を見て、いい句が浮かんだ時には、ぜひ紙面の「よみうり時事川柳」までお送りください。
(掲載句には選者が若干の修正を加える場合があります。ご了承ください)
Web句会「冬季オリンピック」の入選作はこちら
(秀)応援はコタツ抜け出し正座する(千葉県・およ川)
三度目は日本じゃできぬ温暖化(宮城県・じゅていむ)
コルティーナ懐かし猪谷の銀メダル(千葉県・後期高齢者)
地上波で放送してよアルペン競技(東京都・ゆうじ)
モーグルにレルヒ少佐が腰抜かす(茨城県・オペンタラ)
押し入れに今やひっそりスノーレッツ(長野県・フクロウのじいじ)
サングラス下の笑顔の幼さよ(富山県・まっさん)
今度こそ沙羅ちゃんきっと今度こそ(山形県・老爺爺)
今もまだそだねそだねが口癖に(神奈川県・どんどん)
Web句会第28回のテーマは「テレビ」
Web句会の次回のテーマは「テレビ」。インターネットに押されたと言われながらも、まだまだ影響力の強いテレビ。ネット時代だからこそわかるテレビの魅力や役割など、今どきのテレビについて思うことを詠んでみてください。締め切りは2月23日です。応募は下のボタンから。
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