資金調達の一助に…大学スポーツで広告解禁の動き
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大学のスポーツシーンで、企業の広告が入ったユニホームを目にする機会が増えた。ラグビーでは公式戦の着用物について、スポンサーの社名やロゴの掲出が2025年度から解禁された。駅伝やアメリカンフットボールなど他の幅広い競技でも採用されている。不当な商業利用から学生を守る意図などで禁止されてきたが、家庭の負担軽減やプレー環境の整備のため、チームごとに資金を調達する流れが進む。
高コスト背景 ラグビーで解禁

昨年12月20日、東京・秩父宮ラグビー場で行われた全国大学選手権の準々決勝。帝京大と筑波大の一戦で、両チームのジャージーの胸や背中部分に、企業のロゴなどがあしらわれていた。
淡い青色のジャージーで知られる筑波大は、地元の茨城県つくば市を拠点に不動産事業を展開する「一誠商事」のロゴを胸に掲出。同社とは以前から、練習試合用のジャージーや部員が着るTシャツに広告を載せるなど協力してきた。晴れて、昨年9月から公式戦でも社名を打ち出している。
日本ラグビー協会は24年度まで、大学の公式戦でジャージーやパンツ、ソックスなどへの広告掲出を認めてこなかったが、時代の潮流や各チームの声を踏まえてルールを見直した。背景には、高コスト体質を避けにくい競技の特性がある。
1チーム15人で戦うため、控えの選手を含めた遠征費は高くつき、屈強な体を作るための食事、ケガの予防や治療の費用もかかる。また、近年はコーチやトレーナーなどスタッフ陣の役割が細分化され、プロとして雇う人数が増える傾向にある。
遠征や専門スタッフ…資金調達の一助
筑波大も、資金繰りに頭を悩ませてきたチームの一つだ。私立大の強豪に比べると、国立大の部活動は資金が潤沢とは言えない上、立地も経費がかさむ要因となっている。都内にある他大学のグラウンドに出向き、1~3軍の3試合を行う場合、移動用のバス3台を1日借りるには60万~70万円かかる。さらに、関東大学対抗戦では試合前日に選手らがホテルに宿泊するケースが多く、1泊で計30万円ほど必要となる。
嶋崎達也監督は広告のルール緩和について、「今までは『どうしようもないよ』と思っていた学生が、自分たちで環境を整えていけると期待している。いろんなものの価格が高騰している中、本当なら(学生から毎年集める)部費を2万、3万円増やさなければいけないところをカバーできる」と語る。教育的な観点でも、「企業への挨拶などの取り組みは、今後指導者になったり、(若い世代を)支える存在になったりした時にすごく大事なものになる」と捉えている。
この他、明治大や早稲田大、慶応大といった名門ラグビー部が大手企業と契約し、ジャージーに広告を打ち出している。帝京大は、「のととも」と記されたロゴを胸の中央に配置。能登半島地震の復興に貢献するため、輪島塗漆器の老舗専門店と協力して掲出した。
「箱根」キティも
箱根駅伝では21年からユニホームの広告が認められている。サンリオと契約した山梨学院大は今年1月、「ハローキティ」が描かれたロゴをつけて走った。青山学院大は、夏合宿を行う新潟県妙高市のロゴを入れている。サッカー界では大学に限らず、高校年代でも、市立船橋高(千葉)が18年から企業の広告付きユニホームを着用してきた。
今後も、広告掲出の動きが拡大することが予想される。収入が増えたチームは強化に回せる一方、知名度が低く、好条件の契約を結べないチームとの格差が広がりかねない。健全な形で日本のカレッジスポーツが発展していくか、行方を見守りたい。


























