プロ野球の選手登場曲、きっかけは人気DJ…阪神の大一番にファンが聞き慣れたあの曲
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プロ野球で選手が打席に入ったり、マウンドへ向かったりする際、登場曲が流れることが一般的になった。国内では30年以上前に始まったとされ、思い入れのある音楽で登場する選手も多い。選手たちの集中力を高めるだけでなく、ファンとの一体感を生む効果もあるようだ。
大一番 指揮官へ感謝を込めて
〽震えるつま先 高なる鼓動 何度も何度も胸に手をあててみた――。
昨年9月7日、阪神タイガースが勝てば、2年ぶりのセ・リーグ優勝が決まる広島東洋カープ戦。2点リードの九回、岩崎優投手(34)がマウンドへ向かう際、本拠地・甲子園球場のファンには聞き慣れたメロディーが流れた。
藤川球児監督(45)が現役の頃、登板時に使っていたロックバンド、リンドバーグの曲「every little thing every precious thing」。日頃は別の音楽をかける岩崎投手だが、優勝のかかった試合で特別な一曲を選んだ。
ベテランとして救援陣をまとめてきた岩崎投手には「(藤川監督は)現役時代、若手だった自分を気遣ってくれた。振る舞い方は監督の影響を大きく受けている」という思いがある。就任1年目の指揮官への感謝を込めた粋な演出に、球場の祝福ムードは最高潮に達した。
オリDJが導入 球場華やかに
かつては登板や打席に立つ際、選手名や打順などだけがコールされるのが一般的だった。登場曲を広めるきっかけとされるのが、1991年のオリックス・ブルーウェーブ(現バファローズ)。本拠地のグリーンスタジアム神戸(現ほっともっとフィールド神戸)で、初代スタジアムDJを務めたDJ KIMURAさん(63)が音楽で盛り上げる手法を取り入れた。
もともと、東京や京都のディスコを拠点にしていた人気DJ。プロ野球の大ファンだったこともあり、募集中だったアナウンス担当に申し込み、球団職員として採用された。「観客に非日常を感じてもらう」とターンテーブルを操り、洋楽のダンスミュージックで球場の雰囲気を華やかにした。
選手のプレースタイルに合わせて、自身で曲を選んでいたといい、俊足の田口壮選手(56)には軽快なドラムベース、長距離打者には重低音の曲をかけた。「選手のイメージを表すとともに、相手投手や野手に威圧感を与えることも意識していた」と振り返る。
今では他球団にも広がり、選手たちは「気持ちが高まる」「家族が好き」などの理由で好みの曲を選択。読売巨人軍・阿部慎之助監督(46)は現役時代、中大の頃から聴いていた米国のバンド、アース・ウインド&ファイアーの代表曲「セプテンバー」を愛用した。ファンも応援の一環として楽しみ、曲が終わるタイミングで「慎之助!」と声を合わせるのが定番化した。人気バンドのザ・ブルーハーツの「人にやさしく」を使う広島の秋山翔吾選手(37)の場合、観客が歌に合わせて「ガンバレ」と大きな声で打席へ送り出す。

演奏「10秒以内で」
一方で、問題となっているのが曲の長さだ。試合のスピードアップを図るため、セ、パ両リーグのアグリーメント(申し合わせ)では「打席へ向かう際に流す場合、テーマソング(登場曲)の演奏時間は、10秒以内」と規定されるが、実際には10秒以上の演奏も珍しくない。日本野球機構(NPB)は定期的に計測を行っているといい、「まずはルール通りにやってほしい」と注意を呼びかけている。
投手の場合、「投手交代は2分45秒以内にプレー再開」と定められ、登場曲の時間による制限は設けられていない。


























