18時24分
123便は高度23900フィート(約7280メートル)に達するまで異常なく飛行を続けた。
巡航高度24000フィート(約7310メートル)に達する直前、「ドーン」という音とともに異常事態が発生した。
スコークは、航空機ごとに管制官から割り当てられる4桁の識別コード。特定の状況下で使用されるコードもあり、緊急事態(何らかの異常発生)は「7700」(123便機長らはこの時「77」と略)、無線機故障は「7600」、ハイジャック発生は「7500」など。
三浦半島・三崎港、伊豆半島・静岡県東伊豆町 男性ら6人
『ドーン』という音を聞いた。雷音と勘違いした
群馬県警の未公開捜査記録から
18時25分
機長
「あーこちら日航123便、羽田への引き返しを要求する」(英語)
東京管制区管制
「要求を承認した」「右旋回か、左旋回か」(英語)
異常事態が発生したと考えた機長は、高度22000フィート(約6700メートル)に降下して羽田空港へ引き返すことを管制官に求め、承認された。
機長
「バンク(旋回時の機体の傾き)とんな、そんなに」
航空機関士
「ハイドロプレッシャー(油圧)がおっこちていますハイドロが」
右旋回を始めたが、バンクが大きすぎると指摘する機長。昇降舵(だ)や方向舵は油圧を利用して作動させるが、123便は油圧の全4系統が機能停止に陥った。方向舵を含む垂直尾翼の大半が損壊・脱落するとともに、油圧系統の配管が破断し、60〜90秒ほどで作動液がすべて流出したためとみられる。
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東京都奥多摩町で12日午後6時50分に撮影された123便。
垂直尾翼がないことがわかる(読者提供)
18時26分
この頃、「フゴイド運動」と「ダッチロール」が始まった。パイロットは抑制しようとしたが、操縦桿(かん)はきかなかった。
フゴイド運動
機首と速度・揚力が上がったり下がったりして、機体が上昇と降下を繰り返す状況。123便は油圧系統を失い、機首の上げ下げを制御できなかったため、伊豆半島上空から富士山の付近までの間、高低差1000メートル超、80~90秒ほどの周期で意図せぬ上昇と降下を繰り返した。
ダッチロール
機体が右へ左へと傾きながら、進行方向も左右に蛇行して不安定に飛ぶ状況。123便では約12秒周期で発生したが、垂直尾翼の大半を失っていたため、「この動画のような一般的なダッチロールとはやや異なる、さらに特異な動きになっていた」(当時の事故調関係者)という。
静岡県東伊豆町など 男性ら4人
西方に向け右旋回しながら低空飛行していく大型飛行機をみた
群馬県警の未公開捜査記録から
18時31分
東京管制区管制
「日航123便、降下可能か?」(英語)
東京管制区管制
「よろしい、現在高度を報告せよ」(英語)
機長
「240(24000フィート、約7310メートル)」
東京管制区管制
「その通り、現在位置は名古屋空港から72海里の地点、名古屋に着陸できるか?」(英語)
機長
「あ-、違います、羽田に戻ることを要求する」(英語)
東京管制区管制
「これから日本語で話していただいて結構ですから」
機長が発した「現在降下中」という言葉は、機体を制御して降下していたのではなく、フゴイド運動により降下していたとみられる。
航空機関士
「オキシジェンマスク(酸素マスク)がドロップしてます」
18時29〜31分
静岡県焼津市、静岡市 男性ら3人ほか
焼津市北方を北北西から北方に右旋回をして行く飛行機を目撃した
翼を左右に傾けながら、『異常飛行』をしていた
群馬県警の未公開捜査記録から
18時42分
18時39〜45分
山梨県都留市、大月市、上野原町(現上野原市) 男性ら5人
円を描くように一回転した大型のジェット機を見た
18時40〜43分
全日本空輸機長(当時51歳)、副操縦士(当時48歳)
東京航空交通管制部から『エマージェンシー機(緊急状態の航空機)が見えるか』との質問があったので、前方を注視したところ午後6時40分、真正面よりやや右で約37キロメートル前方、高度24000フィートないし22000フィート(約7310~6700メートル)に該当機と認められる航空機を発見した
当該航空機の状態は、機首を北方から東方、東方から南方、南方から西方と連続的に円を描くように飛行し、飛行姿勢は、2秒間の右バンク(傾き)と1秒間の水平飛行の繰り返しで、午後6時43分、自機の右後方となり、約3分間の目撃であったが、航空機の識別については大型機の4発エンジンと確認できたのみだった
群馬県警の未公開捜査記録から
18時49分
機長
「あーだめだ。ストール(失速)、マックパワー、マックパワー、マックパワー、ストール、…落ちた」
18時49分
東京都青梅市、奥多摩町 男性ら7人
奥秩父方向に飛行して行く、異常に低空でエンジン音の割に速度の遅い飛行機を見た
18時49〜53分
埼玉県大滝村(現秩父市) 男性ら4人
異常に低空で両翼を上下に揺らしながら、やや右旋回にゆっくりした状態で飛行した飛行機を目撃した
群馬県警の未公開捜査記録から
18時54分
航空機関士
「(こちら)日航123便、現在位置を知らせよ」(英語)
東京進入管制は「羽田の北西55海里、熊谷の西25海里の地点」と回答。
航空機関士
「はい了解」「熊谷から25マイルウエストだそうです」
18時54分
長野県川上村 男性ら7人
東方の埼玉県大滝村との県境稜線を越え異常に低空で飛来し、扇平山の手前で大きく右旋回し三国山方面に向かい、群馬県境の稜線を越えたあたりで左旋回して下降し稜線に消えた飛行機を目撃した
群馬県警の未公開捜査記録から
18時56分
地上接近警報の自動音声
「Sink rate(降下率が大きい)」「Pull up(機首を上げよ), Pull
up, Pull up, Pull up」
(衝撃音)
(衝撃音)
(録音終了)
123便は「一本から松」地点(標高1530メートル)にある樹木数本に接触し、520メートル進んで「U字溝」(標高1610メートル)地点の稜線に右主翼が接触した後、さらに570メートル先の「御巣鷹の尾根」(標高1565メートル)に墜落した。
「御巣鷹の尾根」の墜落現場
長野県川上村 男性ら7人
『ズシン』と鈍い音がして、稜線のむこう側でキノコ雲が噴き出て赤くなった
群馬県警の未公開捜査記録から
生存者の証言①
日航客室乗務員(非番)・女性(当時26歳)
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離陸後、週刊誌を読み始め、間もなく水平飛行になりベルトサインが消える頃、『バーン』と大きな金属音と同時に霧がたちこめ、私は週刊誌を床に落としてしまった
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金属音がした地点は、最後部トイレの天井付近で、同所に70センチ四方の穴が2か所開いて、中のテントの布様の物が風でパタパタと揺れていた
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この時機内で何かの破片が飛んできたり、開いた穴から物が外へ飛び出して行ったりということはなかった
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霧はすぐに消え、スチュワーデス(客室乗務員)と一緒に、おりた酸素マスクの着装指導をした
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富士山が見えた直後、機体が真っさかさまに急降下し、もう駄目かと思いながら両足首を持って1~2分たった頃バウンド的衝撃があり、続いて強い衝撃があって動きが止まった(現場上空から、富士山の目視は可能である)
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墜落した時火災の様子はなく、その後2回ほどエンジン音がして手を振ったが気付かれず、そのまま眠ってしまった。そして、周囲が明るくなって目を覚まし、人声が聞こえたので手を振ったところ気付いて助けられた
群馬県警の未公開捜査記録から
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羽田を出発して間もなく、大きな『メリーッ』という音と同時に『ドーン』と大きな音がして、左最後部天井の壁に1メートル四方の穴が開き、白い煙がたちこめた。穴の中は、プロペラの様なものがゆっくり回っていた
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この時酸素マスクがおりてきて、スチュワーデス(客室乗務員)の人が酸素マスクや救命胴衣のつけ方を教えていたが、立ち上がるお客はいなかった
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その後のことはわからなくなってしまい、気が付いて動こうと思ったが動くことができず、そのまま眠ってしまった
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その後、ヘリコプターの音がして目を覚まし、しばらくしておじさんに助けられた
群馬県警の未公開捜査記録から
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右側窓から富士山を見た直後、突然、『ボーン』や『ボワーン』と大きな音がして、同時に機内に煙がたちこめ雲の中に入ったような状態になった
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その後、私はジェットコースターに乗ったような感じになり、耳鳴りがし、子供たちは耳が痛いと言っていた
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救命胴衣をつけてから5分くらいした頃、飛行機は座っていて前のめりになるくらい下向きに急降下し、『ドカーン』と大きな衝撃音とともに、一瞬まわりが黄色くなった感じがし、何か物が飛び散り、その後気を失ってしまった
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空が明るくなって○○(一緒に救出された長女)の声で目を覚ましたところ、壊れた機体の中に埋まって身動きができなかった。近くで、○○(次女)と夫が冷たくなって死んでいたが、そのうちヘリコプターの音がしてきて、助け出された
群馬県警の未公開捜査記録から
生存者の証言④
主婦の長女=小学3年の女子児童(当時8歳)
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飛行機は上の方に向かっていたが、だんだん平らになった時、急に『ドーン』と大きな音がして白い煙が出た。そして、天井からマスクがおりてきた。耳が押されて痛くなったり、息が苦しくなったりしたけど、お母さんがマスクをつけてくれたので楽になった
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落ちた時、私は気絶してわからなくなってしまったが、その後ヘリコプターの音で目が覚めて生きていることがわかった
群馬県警の未公開捜査記録から
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